納涼といえば肝試しですね。
おばけの季節になりました。
日本のおばけにどのような種類がいるか知っていますか?

幽霊(生霊)・・・言わずと知れた人の霊。魂のみの存在。お岩さん、お菊さんなど。
変化・・・・・・・・・・・動物や物が長い年月を生きてきたり、長く人間に使われてきた結果、超常的な力や高い知能を得、変化したもの。人面鬼人化することが多い。九尾の狐、ねこまた、一反木綿など。
魑魅・魍魎・・・・・魑魅は山林に棲み、魍魎は水の化け物とされる。石や木など自然物の精気から生じる。河童、人魚、木霊など。

そして、「妖怪」というのはこれらの総称。「おばけ」を難しく言ったものです。
もっともこれはいろいろ議論(種類分け自体も)があるところで、境界線上にいるおばけもいたりします。
狂骨や二口女など人間や霊がそのまま妖怪に転化したりとか、酒呑童子など人間として生まれてきたのにその生まれもっての力のために鬼化したもの、座敷わらしや天狗などどちらかというと神に近いものなどがそうですね。

どちらにしても「おばけ」というものは、人間の闇の部分、後暗いところ、当時の人々には怪異にうつった自然現象への恐れと相反する支配への欲望から生まれたといえます。

西洋のおばけと呼ばれるものが概ね人型や半獣型、獣型をしているのに対して、日本のお化けは、たぬきやきつねが化けるだけでなく、提灯や木綿などが人を襲ったり、石が人を呪い殺したとりもする。
魂(精神)は人や動物・自然物だけでなく、人工物にも宿ると考えたのが日本人の面白いとこだなぁと思ったりします。
身の回りにある全てのものに対して、それはただの空間も含みますが、自分に向けられる目というものをを感じていたのかと、日本人の精神の後ろ向きさ加減がよく分ります(笑)
もちろんこれはアジア圏に広くある、御霊信仰・精霊信仰の影響でしょう。

自然界のあらゆるところに神がいる。精霊がいる。

日本人は神だけでなく精霊や先祖の目を感じ、そこを精神の拠り所としていた。
神は西洋と違い絶対的な規律を示すものではなかった。
日常的な事柄に関しては代々からの慣習で対応してきた曖昧さが、日本人の物事に対する姿勢を良い意味でも悪い意味でも作ったのだろうと思います。

そして、雰囲気を読む。口にしなくても分るということ。
これを日本人はとても大切にしますが、目には見えないものを感じ取ろうとする心が繊細な感性を作り、闇の中に現実には在らざるものを見る力、想像力、創造力というものを人の中に育てたのでしょう。

コメント