『ハウルの動く城』――今年は日本が誇る世界的アニメ監督三人全員が映画を作ったという画期的な一年だったそうですね。
トリを飾るのは宮崎駿監督…もう、説明出来ないくらい知れわたっているクリエイターかと思います。
休日の朝にこの作品を見に行ったにらが、2時間かけて我が家にやってきて開口一番ハウルの感想を述べました。
「えーとね、すっごく面白かったよ♪思ったよりはずっと良かった、かな」

以下の文章はにらの話とぬりかべの話とサイト上に溢れている酷評とサイト上に溢れつつある「案外いいじゃん」という意見を元に、もぞが勝手に想定した『ハウルの動く城』の捏造レビューである。
この作品をこよなく愛している方、どんな些細なネタバレも見たくない方、事実と違うことを吹聴する人間を許せない方は迷わず「まわれ右」なのよ☆

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この話は次の登場人物によって構成されている。

もぞ:無趣味無教養の名をほしいままにしている語り部。映画館に映画を見に行く、という文化が存在しないので当然話題作の多くを見逃している。にらとぬりかべがいなければDVDやビデオさえも見ないという駄目っぷりを発揮中。「ハウルってなぁに?」状態ですよ、もちろん。
にら:マンガ・ゲームに関してはすぐに触手を動かしてしまう自称「壊れ腐女子」。社会人として給料を貰っている為に大人買いをしてしまい逆に貧乏になっているという萌え人生。今回、ハウルを見に行って語り部にネタを提供した貴重な人物。原作も読了。
ぬりかべ:豊富な読書量と年間100本は超えると言われる映像作品鑑賞によって批評家のようになってしまった人。もはや純粋に作品を楽しむことは出来ないなんて可哀想な人だこと(もぞの負け惜しみ)。にらの話を聞いてハウルを見に行こうかなと思っている。

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『ハウルの動く城』れびゅーふぉーもぞ
 時代は昔(え?)、戦争のある世界。
 少女ソフィーはどういうわけだか魔法によって90代の老女にされる。
 老女ソフィーは愛する我が家を逃げ出して、色々あって動く城に住むイケメン魔法使いハウルに助けを求め、何故かその願いは受け入れられる。
 ソフィの来訪により、個人主義的だった動く城の住人達は「家族愛」に目覚める。
 ハウルはどうやら「家族愛」に飢えた本当は寂しい青年だったので、家庭的で明るいソフィーに惹かれている。
 一方。
 明確な理由はわからないものの、ハウルは戦争のない平和な世界を望んでいて、その為に尽力していた。
 そして物語終盤、それまで熱にうかされたように戦争をしていた連中があっさりと戦いから手を引く。
 おまけにソフィーは魔法も解けて…そう、めでたしめでたし、なのよ☆

 ポイントの一つは「思ったよりも」「案外」「最低ランクを覚悟してたけど」とても良い作品だったということのようで。
 キムタクの声はむしろ「キムタク?」という感じで全然気にならないそうです。ソフィーの声もにらとしてはほとんど気にならない御様子。
 でも批評家の方が言ってたのは「何で声優使わないの?」っていうことだよね。特に「寅さん」世代の方々は彼女の声を聞く度に「さくらー」と叫びたくなる欲求があって…なんだかなぁって言ってたよ?
「えー、だって私、寅さん見ないし、わかんない」
 …ま、そうでしょうね、そう言われれば私もわかんないです。
「映像は本当に綺麗だったしね」
 うん。
「音楽も素敵だったしね…ワルツ調で、正直アレ(曲)だけで泣いてる人がいると思うな」
 久石さんの音楽って結構くるもんな。
「それにハウルが美形なのよ〜!!!」
 造形が美しすぎるというのは深みがないってことにも繋がるらしいけど?
「いや、ほんと、かっこいいから」
 …聞いてないな…おのれ、にら。
 原作ももちろんチェック済みの彼女にとって、この映画は言いたいこともあるけれどナイスな作品だった模様。ご機嫌な彼女にぬりかべの質問が飛んできます。
「でもさ、原作読んだ人の多くが結構こうるさい批評をしてるよな。お前ほんとに原作読んだのか?」
「読んだもん。でも良かったもん…ていうか、もしかして私って甘いのかなぁ…」
 そういえば原作を読んでない人にも分かるのかなぁっていう不安があるよね。
「そういわれると…確かに不安な所があるようなないような…」
 まぁ人は上手いこと脳内補完しながら鑑賞するものではあるけどさ。
「そういえば戦争の理由とか分かりづらいかもしれない」
「…ふぅん、でも古来から人間が戦う理由なんて一つじゃないからな。例えば聖闘士星矢、あれは何故戦うんだ?」
「それは…姉さんを捜すためでしょ?」
「ふっ、それは理由の一つに過ぎないだろう?ならば一輝は何故戦った?」
「お、弟のため…」
「瞬は何故戦った?」
「「兄のため(爆笑)」」
 もしもーし、お二人さん?
「そうか、人は愛のために戦うんだな(ニヤリ)」
「な、なるほどー。じゃハウルも愛のためだったのかぁ(笑)」
 そうなんだ…じゃあわりと分かりやすい話なんだね。
「まぁ待て。ところでお前はもののけ姫ってどう思った?」
「好きな話です。良い作品だと思いますよ?結論もあれでいいと…」
「俺、もののけ姫のラストはご都合的な感じで駄目だったぞ」
 確かに拍子抜けしたよね、もののけ姫のラスト。
「…だったらハウルも駄目ですね。ハッピーエンドだもの」
「何だよ、駄目って」
「映画には原作を超えるような不幸表現が無いんです。魔法もサクッと解けちゃう感じです。もののけ姫で駄目ならハウルは駄目でしょうね」
「なーにーをー!?よし、もぞ見に行くぞハウル」
 えっと、心に余裕のない時に、ヨコシマな考えの方と一緒に映画は見に行きたくないですよぅ…だって見終わったら徹底討論会がセッティングされちゃうんでしょー?
「ぬりかべには絶対分からないと思いますけどね」
「なーんーだーとー!!!」
「あ、でも本当にハウルが格好いいから、もう凄いから♪」
 そうですか…そうですね、見に行かねばならんでしょうな…見てもないのにここまで熱くなれる作品が駄作のハズがないですよ。
 というか知らないのに語るのは非常に恥ずかしい上にとっても痛い人みたいなので、はやく私も一人前の教養を身に付けようと思います。

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ハウルレビューというよりは、私たちの日常会話の垂れ流しのような気もしますが…どうやら私にも楽しめそうな話だということがよく分かりました。
どうやらサホも見に行ったようで、彼女の意見もにらと同じベクトル…☆
この二人がはまったのなら、私も多分メロメロになるんだろーな♪
今からちょっと楽しみ&見に行く暇が作れるのかちょい不安な私なのでした。

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