一言コメント:今度、管理人の誰かが定期会合に遅刻したら、ハンドルネームの一番上に「叶」をつけることになりました。例えば、にらが遅刻した場合「叶にら」として限定一ヶ月デビューします。

              「速水という男」について

 中村、善行と書いてきて、さぁ次は田代でも書くかぁと思っていたとき、ふとニラが言ったわけである。
「いっそ、速水を書いたらどうですか?」と。
 ――速水。
 ――速水ねぇ。
「ちなみに、君たちの速水はどんなのだったっけ?」
「こんなのだけど」
 モゾがモニターにSSを起こしたので、それらをチロチロと読んでみた。

 フンフン。
 フーン…。
 読んだ後、おもむろにコタツに潜り、
 まくら代わりに、手近なクッションを引き寄せようとした。
 無情にも、それをグッとニラが踏みつける。
「なに寝ようとしてんですか」
「勘弁してくれ。こんなの、ワシには死んでも書けねぇでゴワス」

 なにぃー。こんなの、とはなんだ。

 それからしばらくニラとモゾがひでぇひでぇの大合唱。
 言い訳するとまたうるさいしなぁ、と逃げるようにコタツに潜った。
「ワシの速水はこんなのじゃないしぃ」
 コタツの底でいじけた音速丸の心境で叫んだ、あわれなぬりかべ。
「じゃ聞きますけどぉ、ぬりかべの速水ってどんなの?」
 口をとんがらがらせてモゾが聞いてきた。
 ふむ、と思って亀のように首だけ出した。
 ワシの速水はこんなのだぎゃあ、としばらく説明してやった。説明した後、ニラが困惑したような顔を浮かべた。
「――何だよ」
「それ、速水と違うぅ」
 なんやてぇ〜
「あえて言うなら、それ黒速水ですぅぅ」
「なんだ、その"黒"って」
「目覚める前が灰色速水で、目覚めた後が黒速水なんですぅぅぅ」
「――? なんで、黒の反対が灰色速水なんだ。白速水じゃないのか?」
「白速水は、黒速水も灰色速水も存在しないっていう感じのぽややん速水なんです」
「はぁ? 何、言ってんだ。日本語しゃべれ、おい」
「だからぁ。ああぁぁぁぁ、もう。説明するのが面倒くさいぃぃぃ」

 ――というわけで、

 ぬりかべの速水は、通常の速水とは違うとのことである。
 やや卑怯というか厳しいというか、甘くないというかポヤヤンしてないというか、――要するに違うと。
 ぬりかべにとっては、至って自然な速水に過ぎない。このような速水しか、ぬりかべの心には存在しない。存在するかもしれないが、多分書く元気が湧かないから書くことができないと思う。
 そして、多分、みなそんな感じ。
 百人ゲームすれば、百人の速水や舞がいて、ぬりかべの速水もニラやモゾの速水もそれぞれ違うというのは、どうしようもないことで、あえてSSを書こうとゆうヤカラは、みな心の中から湧き上がる底なしのエナジーで自分だけにしか書けない速水や舞を日々、創造している。
 一人一人違う。
 当たり前のことだ。
 さらに、日々変わり続ける。
 だからこそ、素晴らしい。

 甘い速水を書いた後、からい速水を書きたくなるかもしれない。
 妙に男前な速水を書きたくなるかもしれないし、妹属性の速水を書きたくなるかもしれない。多重人格で情緒不安定な速水もあれば、変態鬼畜な速水もある、さらに猟奇殺人な速水――。
 まぁ、それらは、ニラとモゾに任せるとして。

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