鳥か深海魚か 担当:ぬりかべ
2005年3月5日一言コメント:(伊東四朗の「おれってタフマン」のメロディで以下の歌詞を歌ってみよう)
< あんたがた、アスラン♪ >
< おれって、アスラン♪ >
以上。
「鳥か深海魚か」
鳥は大空をはばたき、深海魚は海底に棲む。
誰もが鳥になりたいと望み、なりえない悲しい現実。
少なからずの者が自己を鳥だと思いこみ、実は深海魚になっている。
深海魚は、鳥とは違う。
ひたすら深海の深淵を覗き、彼女しか見たことがない世界を見続けている。
深海の底に海底火山が煌びやかに宝石のように輝いていても、「あぁこんなに綺麗だよ、みんなも降りてくればいいのに」 ――言ったところで誰も降りてきはしない。
なぜ、彼女は深海魚になったのか。
酷いことを言われ追い払われたからと彼女は言う。仕方が無く安住の地をそこに定めているのだと彼女は言う。わたしはひとりぼっち、と彼女は言う。
しかし、寂しさは埋めきれず、ときおり海を見上げて言うのだ。
「わたしもそっちに行きたいよ」
暗闇のなかで、その言葉が空しくこだまする――。
行ってもいい。自由がある。
しかし、殺されることを彼女は恐れるため、行くことが出来ない。言葉が視線が彼女を殺す。目に見えないプレッシャーが、水圧のように、深海魚の体をバラバラにしてしまう。
「行けない。行きたいけど、行けない。行けないよぉ」
深海の底で、誰もいない絶対の孤独の中、彼女は泣き続ける。
しかし、そこで泣いてもなにも変わらない。
深海魚でもいい。
例え姿形は醜いと言われてもいい。
迫害されて虐げられて、深海にしか居場所がなくてもいいじゃないか。
生きているのだから。
「そうは言っても、ここで生きていくのは死ぬより辛いことなの。きっと心が死んでしまう。死ぬのはいや、生きていたい。生きて――」
ならば、暗闇で光を照らすことはできないか。
君にしか出来ない光を、僕にも分かるように照らしておくれ。
そうすれば、少なくとも世界で僕だけは君のところに辿りつける。
そう、君はひとりじゃない。
たゆたう大海を恨んでも何も変わらない。
無数に群れる魚たちを妬んでも何も変わらない。
恨みと妬みは、君の体を重くして、君を深海に繋ぎ止めている。
――それを、外せ。
君だけがそれを外すことができる。少しずつ、少しずつ、それを外すのだ。
そして、僕は見られるだろうか。
君の黒い鱗が次々と剥がれ、白い羽毛に包まれた翼が伸びるのを。
君よ羽ばたけ。
深海から勢いをつけて離れ立ち、水しぶきをあげて海を越え、爽やかな風がそよぐ大空に。
< あんたがた、アスラン♪ >
< おれって、アスラン♪ >
以上。
「鳥か深海魚か」
鳥は大空をはばたき、深海魚は海底に棲む。
誰もが鳥になりたいと望み、なりえない悲しい現実。
少なからずの者が自己を鳥だと思いこみ、実は深海魚になっている。
深海魚は、鳥とは違う。
ひたすら深海の深淵を覗き、彼女しか見たことがない世界を見続けている。
深海の底に海底火山が煌びやかに宝石のように輝いていても、「あぁこんなに綺麗だよ、みんなも降りてくればいいのに」 ――言ったところで誰も降りてきはしない。
なぜ、彼女は深海魚になったのか。
酷いことを言われ追い払われたからと彼女は言う。仕方が無く安住の地をそこに定めているのだと彼女は言う。わたしはひとりぼっち、と彼女は言う。
しかし、寂しさは埋めきれず、ときおり海を見上げて言うのだ。
「わたしもそっちに行きたいよ」
暗闇のなかで、その言葉が空しくこだまする――。
行ってもいい。自由がある。
しかし、殺されることを彼女は恐れるため、行くことが出来ない。言葉が視線が彼女を殺す。目に見えないプレッシャーが、水圧のように、深海魚の体をバラバラにしてしまう。
「行けない。行きたいけど、行けない。行けないよぉ」
深海の底で、誰もいない絶対の孤独の中、彼女は泣き続ける。
しかし、そこで泣いてもなにも変わらない。
深海魚でもいい。
例え姿形は醜いと言われてもいい。
迫害されて虐げられて、深海にしか居場所がなくてもいいじゃないか。
生きているのだから。
「そうは言っても、ここで生きていくのは死ぬより辛いことなの。きっと心が死んでしまう。死ぬのはいや、生きていたい。生きて――」
ならば、暗闇で光を照らすことはできないか。
君にしか出来ない光を、僕にも分かるように照らしておくれ。
そうすれば、少なくとも世界で僕だけは君のところに辿りつける。
そう、君はひとりじゃない。
たゆたう大海を恨んでも何も変わらない。
無数に群れる魚たちを妬んでも何も変わらない。
恨みと妬みは、君の体を重くして、君を深海に繋ぎ止めている。
――それを、外せ。
君だけがそれを外すことができる。少しずつ、少しずつ、それを外すのだ。
そして、僕は見られるだろうか。
君の黒い鱗が次々と剥がれ、白い羽毛に包まれた翼が伸びるのを。
君よ羽ばたけ。
深海から勢いをつけて離れ立ち、水しぶきをあげて海を越え、爽やかな風がそよぐ大空に。
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