例えば私が年を重ねて家族が出来ても、ずっと名前で呼んでほしい。

そんな些細な私の願いを、彼は笑って否定した。

子供が出来れば「お父さん、お母さん」、子供の友達が遊びに来たら「おじちゃん、おばちゃん」――それの何が不服なの?

そう言われて私はムッとする。
だって私は私。
私のことを好きで一緒にいるなら、私を「個」として見るのが当然でしょう?
好きだと言って。
愛の言葉を忘れないで。
大事にして。
余所見をしないで。
無視しないで。
笑っていて。
優しくして。
ワガママもきいて。
甘やかして。
私を絶対否定しないで――

――名前を呼ばなくなったからって、それと君を否定することとは違うんだよ。
言葉には力があるから。
役割で呼び合うことで生まれる、育まれる関係というのもある。
素のままで生きていくことが本当に幸せだと思うのかい?
相手がいて、もっとたくさんの誰かがいて、そして自分がいる。
そのことを忘れちゃいけないよ。
「じいさん、ばあさん」と呼び合える関係は何より素敵だと思うけど?

笑顔でそんなこと言われたら、何も言えなくなるじゃない。
いつもそうやって私をコントロールして。
…でもそういう関係は嫌いじゃないから、よい子のフリして騙されておく。
とりあえず私は今の関係を楽しもう。

***
恋愛小説のつもりで書いてみたが、こっぱずかしぃねぇ…はは。

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