ただいま私の最大の関心事は育児なんですが、ここで書いちゃうとバカ親(…)っぷりを露呈しちゃうんで、自己規制。

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福本伸行と言えば、私にとって間違いなく麻雀漫画の神である。
麻雀初心者だった頃、マンガ喫茶に連れられては読まされたものである。
独特の絵柄から、少年少女マンガしか読んだことのない私には結構敷居が高かったのだが、これが麻雀が分かってきだすと面白く感じ始めるのだから不思議なものだ。
以前、ぬりかべが書いたかもしれないが、「天」(竹書房)のラスト3巻は圧巻であった。麻雀マンガであるにも関わらず、アカギという男の最期を描いたラスト3巻は、読むものを哲学の境地まで連れて行く。人の死とは何なのか、これほど具体的に提示できるマンガ家を私は他に知らない。福本伸行が発するメッセージは強く、死を扱っていながら読み手が死にゆくアカギの為に涙することを許さない。
そんな彼の書く最新作が「最強伝説黒沢」(ビッグコミックス)である。

今年最初に読んだ作品としては、これが何とも濃ゆかった。
福本伸行である。麻雀マンガかと思っていた。しかし内容は「建設会社のダメ社員、独身、44歳、友人なし、恋人なし、目標なし」な男が最強伝説を作っていく話である。しかも本人が意図しない形で(涙)
一巻ではあまりの黒沢の駄目っぷりに作者の才能の枯渇を疑ったものだった。そんな黒沢がちょっとだけ積極的な行動をとるのだが、これが見事に空回り。他人から評価されたいと願った行動がまったくの裏目に出ちゃうのである。
「あー、駄目だ黒沢。何、こいつ、きもいんですけど」ってな感じの黒沢。果てには警察に「誤認」逮捕され、これがきっかけで最強伝説が生まれていく。黒沢がまったく望まない形で(涙)
本当は強くも何ともない黒沢だが、彼は「生きる」ということに関して執着がある。そして窮地に立たされるたびに、彼なりのルールというか哲学が発揮され、それを周りの人間達が誤解して危機を脱する。これが笑える。「なんでそーなるの?」と心の中で突っ込みを入れ続ける黒沢が笑える。あぁ上手く言えないけれど、ボロボロになりながら叫びながら人間としての本能というか野生を剥き出しにする黒沢に共感しちゃうんである。
何というか、いまだかつてない面白さ…?
読んだことない展開のギャグマンガ…?
ってこれってギャグなんだよ…ね?

とにかく心の整理がつかないくらい、私にとって強烈な印象を残す作品です。誰かレビュー書いてくれ…

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